自宅バリアフリー化の体験談:介護保険と高齢者住宅改修費用助成制度を活用して 2

バリアフリー

高齢者住宅改修費用助成制度を利用して大規模な改修工事を始めることになりました。これまでの部分的なDIYの改修では限界があり、家全体を見直す必要性を感じていました。母の移動や生活をより快適にするためには、玄関や浴室だけでなく、廊下やトイレ、居室までを包括的に改善する必要があったのです。

助成制度を利用する際、最初に取り組んだのは玄関の段差解消です。母が車椅子を使う可能性を考え、玄関の段差を完全に取り除き、代わりに緩やかなスロープを設置しました。このスロープは滑り止め加工が施されているため、雨の日でも安全に使用することができます。また、玄関スペース自体が狭く、靴の脱ぎ履きがしづらかったため、玄関の床面を一部拡張し、母が椅子に座って靴を履けるようにしました。改修後、母は「これなら車椅子でも外に出られる」と喜んでくれました。

次に取り掛かったのは浴室の全面的な改修です。これまでの滑り止めシートや吸盤式の手すりだけでは、母が安全に入浴するには不十分だと感じていました。今回の改修では、深い浴槽を浅型のものに変更し、浴槽の高さを母がまたぎやすい設計にしました。また、浴室全体の床をバリアフリー仕様に変更し、段差を完全に解消しました。出入口のドアも引き戸に変更することで、車椅子でもスムーズに出入りできるようになりました。

さらに、トイレの改修も重要なポイントでした。これまでのトイレはスペースが狭く、車椅子や歩行器では出入りが難しい状態でした。今回の改修でトイレのスペースを広げると同時に、便器の高さを母が立ち上がりやすい高さに調整しました。また、トイレの壁面にはL字型の手すりを設置し、母が自力で立ち座りできるよう工夫しました。この改修により、母はトイレでの動作が格段に楽になり、私の介助もほとんど不要になりました。

廊下についても全面的に見直しを行いました。これまでの廊下は幅が狭く、母が歩行器や車椅子を使う際にはスムーズに移動できない状況でした。今回の改修では廊下の幅を約30センチ拡張し、床材も滑りにくい素材に変更しました。また、廊下の両側に手すりを設置することで、母が移動する際にどちらの手でも支えを取れるようになりました。

改修が完了した後、母の生活は大きく変わりました。これまで家の中で移動するたびに不安を感じていた母が、「これなら安心して一人で動ける」と自信を取り戻してくれたのです。また、私自身も改修後は母を支えるための介護負担が大幅に軽減され、精神的にも肉体的にも余裕ができるようになりました。

この経験を通じて感じたのは、住環境を整えることが高齢者の生活の質を向上させる上でいかに重要であるかということです。また、助成制度や補助金を活用すれば、家計に大きな負担をかけずに安全で快適な住環境を整えることができることも実感しました。

改修後の生活を見て、母は「もっと早くやればよかったね」と言ってくれました。その言葉を聞いて、私も「やってよかった」と心から思えました。自治体の助成制度や介護保険の仕組みは、制度をきちんと理解し、上手に活用すれば、高齢者本人だけでなく介護をする家族にとっても大きな支えになることを改めて感じました。

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