日本の高齢化が進む中、多くの家庭で在宅介護が必要とされています。特に高齢者の転倒は、骨折や入院につながる危険があり、介護生活をさらに複雑にする要因となりえます。
そこで、ここでは在宅でできる転倒防止のための対策や環境の工夫について詳しく解説します。これから介護を始める方にとって、日常生活で気をつけるべきポイントを押さえ、安全で快適な生活をサポートする方法をご紹介します。
転倒の原因とリスク
転倒の原因はさまざまですが、高齢者の場合、筋力低下やバランス感覚の衰え、視力の低下などが主な要因となります。また、家の中の段差や滑りやすい床、足元の物なども転倒リスクを高める原因です。
高齢者が転倒した際に骨折や頭部外傷を負うことも多く、入院が長期化したり、要介護度が進行する恐れがあります。そのため、在宅での転倒予防は、介護者にとって重要な課題です。
転倒防止にはいくつか注意したいポイントがあります。高知市公式チャンネルの「介護事故の防止などについて~転倒・転落~」も併せて参照してください。
室内環境の改善
床の段差をなくす
家の中に段差がある場合、つまずきやすいため、段差を解消するか、目立つ色で段差を区別するなどの工夫が効果的です。必要に応じてスロープの設置も検討しましょう。
滑りやすい床材の改善
フローリングなどの滑りやすい床材は、滑り止めマットやカーペットを敷くことで安全性を高めます。特に、浴室やキッチンなど水がかかりやすい場所には、防水性と滑り止め機能を兼ね備えたマットが適しています。
手すりの設置
廊下やトイレ、浴室など、移動や立ち上がり動作の際に手すりを設置すると、安定した動きをサポートできます。手すりは、しっかりとした強度のあるものを選び、適切な位置に取り付けましょう。
筋力トレーニングとバランス運動
転倒を防ぐためには、筋力やバランス感覚の維持も大切です。自宅で簡単にできる運動を取り入れることで、筋力低下を防ぎ、転倒リスクを軽減することができます。
- スクワットや軽いストレッチ
筋肉を使うスクワットやストレッチを日常生活に取り入れることで、下肢の筋力強化が期待できます。初めはゆっくり無理のない範囲で行うようにしましょう。 - バランスボードや片足立ち
バランス感覚を鍛えるための簡単な運動として、バランスボードや片足立ちを取り入れるのも効果的です。つかまりながら行うことで、安全に実践できます。
ストレッチについては、京都包括ケア推進機構の「転倒予防体操」も参照してください。
定期的な健康チェック
転倒リスクを減らすために、健康管理も欠かせません。定期的に病院で検診を受け、健康状態を確認することが大切です。
- 視力や聴力の確認
視力の低下や聴力の低下も、転倒の原因となりえます。定期的に視力や聴力を確認し、必要に応じて眼鏡や補聴器を使用しましょう。 - 骨密度検査
高齢者は骨がもろくなりがちで、転倒による骨折のリスクが高まります。定期的に骨密度を測定し、必要であれば骨密度を保つための治療やサプリメントの摂取を検討しましょう。
高齢者の転倒は一度の怪我が長期の影響を及ぼすことがあるため、未然に防ぐ対策が重要です。