自宅バリアフリー化の体験談:介護保険と高齢者住宅改修費用助成制度を活用して3

バリアフリー

改修工事を終えた後の生活は予想以上に快適なものになりました。母は「今までできなかったことができるようになった」と言って、家の中での自立心を取り戻しつつあります。しかし、ここに至るまでの過程には数々の学びがありました。今回は、助成制度や改修工事を進める上で私が経験したことを振り返りながら、今後同じような状況に直面する方の参考になればと思い、さらに詳細なエピソードをお伝えします。


申請手続きの注意点と助成制度の壁

高齢者住宅改修費用助成制度を利用する際、最初に壁となったのは申請手続きでした。自治体によって申請に必要な書類や条件が異なるため、何度も窓口に足を運びました。特に私が住む地域では、事前に工事内容を詳細に記載した計画書の提出が求められました。そのため、リフォーム業者との打ち合わせに時間をかけて、母の生活のどの部分を優先的に改善すべきかを一つ一つ話し合いました。

また、工事を行う前に自治体の職員による現地確認が必要でした。この過程では、「この改修が母の生活をどう変えるか」を具体的に説明し、助成金の対象となることを認めてもらう必要がありました。初めての経験で少し戸惑いましたが、ケアマネジャーさんのサポートを受けながら進めることで、スムーズに申請を完了させることができました。


改修工事中の工夫と業者との連携

実際の改修工事が始まると、思った以上に家全体の様子が変わり始めました。例えば、玄関のスロープを設置する際には、母が実際に車椅子で動けるかを確認しながら角度や幅を調整してもらいました。浴室の改修でも同じで、母が安全に使える高さに手すりを設置するだけでなく、動作を試しながら浴槽の位置を決めました。

工事業者の方々は福祉リフォームの専門知識を持っており、こちらの要望を細かく聞いてくれましたが、それ以上に「こうするともっと使いやすいですよ」とプロならではの提案をしてくれたのがありがたかったです。例えば、トイレの手すりは当初一方向だけに設置する予定でしたが、業者さんのアドバイスで両側に設置する形になり、母が自分で立ち座りしやすくなりました。

改修工事が進む中で、家の中がしばらく使いづらくなる時期もありました。工事中は母が安全に過ごせるよう、寝室に簡易トイレを設置したり、食事スペースを別の部屋に移したりと、家族で協力しながら工夫して対応しました。この時期は少し不便でしたが、「工事が終わればきっと良くなる」と信じて乗り越えることができました。


改修後の生活の変化と私自身の気づき

改修工事が完了し、母の生活は一変しました。これまでは「怖いからやめておこう」とためらっていた家の中での移動が、改修後は「ここなら安心して動ける」と積極的になり、母自身の表情にも明るさが戻りました。特に浴室の改修後、母が自分の力で入浴を楽しめるようになったことは、私にとっても大きな喜びでした。

また、改修後は私自身の生活にも変化がありました。それまで母の移動や入浴に付き添う時間が多く、正直なところ自分の時間を作る余裕がありませんでしたが、母が自立して動ける範囲が広がったことで、私も心に余裕が生まれるようになりました。自宅での介護生活において、住環境が整うことがどれほど家族全体に良い影響を与えるのかを実感した瞬間でした。


住環境整備のこれからと次の課題

今回の改修で母の生活は格段に快適になりましたが、高齢者の状態は常に変化するため、今後も住環境を見直し続ける必要があります。例えば、今は歩行器を使いながら移動できていますが、将来的に車椅子が必要になった場合にはさらに広い動線が求められるかもしれません。また、視力の低下や体力の衰えに合わせて照明や家具配置の変更も考慮する必要が出てくるでしょう。

今回の経験を通じて感じたのは、助成制度や補助金を積極的に活用することの重要性です。介護保険の住宅改修制度や自治体の助成制度は、一見すると申請が複雑そうに思えますが、ケアマネジャーや専門業者のサポートを受けることで負担を軽減しながら進めることができます。そして何よりも、これらの制度を活用することで、高齢者本人だけでなく介護を担う家族の生活全体が改善されるのだと実感しました。

母との生活はこれからも続きますが、今回の改修によって得た安心感を土台に、新たな課題にも柔軟に対応していけるという自信がつきました。この体験談が、同じように介護の悩みを抱える方々にとって少しでも参考になれば幸いです。

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