歩行補助具の選び方と使い方– 安全で自立した移動をサポートするアイテム –

シルバーカー

歩行補助具は、歩行が不安定な高齢者や、足腰に負担がかかる方の移動をサポートするための重要なアイテムです。屋内外での移動を助け、転倒リスクを軽減し、自立した生活をサポートします。歩行補助具にはさまざまな種類があり、利用者の体力や生活スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、歩行補助具の種類や選び方、使い方について詳しく解説します。


1. 歩行補助具の必要性とメリット

歩行補助具を使用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 転倒リスクの軽減:不安定な歩行をサポートし、転倒のリスクを減らします。
  • 自立した移動をサポート:補助具があることで、自分で歩行しやすくなり、自立した生活を続けられます。
  • 介護者の負担軽減:歩行補助具を使うことで、移動のサポートがしやすくなり、介護者の負担も軽減されます。

2. 歩行補助具の種類と特徴

歩行補助具には、利用者の身体状況や利用場所に応じたさまざまな種類があります。以下は、代表的な歩行補助具のタイプとその特徴です。

(1) 杖(ステッキ)

杖は、歩行がやや不安定な方に適したシンプルな補助具です。軽量で持ち運びがしやすく、屋内外で使用可能です。

  • 特徴:片手で支えられるため、軽度の歩行補助が必要な方に適しています。
  • メリット:コンパクトで持ち運びが簡単。滑り止めが付いたものも多く、転倒防止に効果的です。


    杖の詳しい選び方については下記も参照にしてください。

(2) 松葉杖

松葉杖は、足や足首にけががある場合や、体重をかけずに歩行をサポートするための補助具です。短期的な使用や、片足が不自由な場合に便利です。

  • 特徴:体重を腕で支える構造で、足の負担を減らします。
  • メリット:足に体重をかけずに移動できるため、けがやリハビリ中の方に適しています。

(3) シルバーカー

シルバーカーは、歩行が不安定な方に安定した移動をサポートするための車輪付きの歩行器です。ショッピングカートとしても使えるデザインが多く、屋外での利用が便利です。

  • 特徴:前方に車輪がついており、安定した歩行が可能です。買い物かごが付いたタイプもあります。
  • メリット:屋外での利用に便利で、移動しながら荷物も運べるため、日常生活のサポートになります。

(4) 歩行器(ウォーカー)

歩行器は、車輪がないタイプとあるタイプがあり、歩行が不安定な方が体重を預けて歩行するために使用します。屋内での使用が一般的で、安定感が高いです。

  • 特徴:手すりを持って体重を支えながら歩けるため、安定した歩行が可能です。
  • メリット:屋内での使用に適しており、足腰に不安がある方が安全に歩けるようサポートします。

(5) ローリングウォーカー

ローリングウォーカーは、車輪がついた歩行器で、屋外での歩行をスムーズにサポートします。ブレーキや座面が付いているため、移動中に休憩も可能です。

  • 特徴:車輪付きで、スムーズに進むことができ、移動時の休憩がしやすい座面付きもあります。
  • メリット:長距離移動や散歩の際に便利で、休憩しながら安全に歩行できます。


    その他、車椅子の詳しい選び方については「車椅子の選び方と使い方」・歩行補助具については「歩行補助具の選び方と使い方」も参照にしてください。

3. 歩行補助具の選び方

歩行補助具を選ぶ際には、利用者の体の状況や使用目的、利用場所に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。

(1) 体力やバランスに応じた選択

利用者の体力やバランスに応じて、最適なタイプを選びましょう。軽度の歩行補助には杖やシルバーカー、より大きな支えが必要な場合は歩行器やローリングウォーカーが適しています。

(2) 利用場所を考慮する

屋内のみで使う場合と、屋外で長距離移動に使用する場合で適切なタイプが異なります。屋外で使う場合は、車輪がついたタイプや折りたたみが可能なタイプが便利です。

(3) サイズと高さ調整

歩行補助具は、利用者の体に合ったサイズと高さに調整できるものを選びましょう。特に杖や歩行器は、肩の高さに合わせて高さが調節できるものが理想です。


4. 歩行補助具の安全な使い方と注意点

歩行補助具を安全に使用するためには、使い方のコツと注意点を理解しておくことが重要です。

(1) 正しい姿勢で使用する

歩行補助具を使う際は、背筋を伸ばし、体重がバランスよく分散するように使いましょう。杖や歩行器に過度に頼りすぎず、足の力も使って歩行します。

(2) 平坦で安全な場所での使用

歩行補助具を使用する際は、できるだけ平坦で安全な場所を歩くように心がけます。段差や傾斜がある場所は転倒のリスクが高いため、慎重に歩くか、介助者にサポートを依頼しましょう。

(3) ブレーキの確認(ローリングウォーカーの場合)

ローリングウォーカーなどブレーキ付きの補助具は、使う前にブレーキが正しく機能しているか確認します。移動時にはブレーキを解除し、休憩する際はブレーキをしっかりかけて安全に固定します。

(4) 定期的なメンテナンス

歩行補助具も日常的に使用するため、定期的なメンテナンスが必要です。車輪やゴムキャップの磨耗、フレームの緩みなどを確認し、必要に応じて部品を交換して安全に保ちましょう。


5. 介護保険の利用と購入・レンタルの選択

歩行補助具は介護保険を利用して購入やレンタルが可能です。利用者の身体状況や生活スタイルに応じて、経済的な負担を抑えながら適切な補助具を導入できます。

  • 介護保険の利用:要支援・要介護認定を受けた方は、介護保険で歩行補助具のレンタルが可能です。
  • 購入とレンタルの選択:短期間での使用が見込まれる場合はレンタル、長期的な利用を想定する場合は購入がおすすめです。

歩行補助具は、利用者の自立した移動をサポートし、転倒リスクを軽減する重要なアイテムです。杖、歩行器、シルバーカーなど、利用者の体力や使用環境に応じて最適なタイプを選ぶことが大切です。正しい使い方と定期的なメンテナンスで、安全で快適な移動環境を確保しましょう。また、介護保険を活用することで、経済的な負担を抑えながら導入が可能です。

目次