それでも、今日を乗り越える 終章:介護と仕事、その先に見えたもの

介護と仕事を両立する生活は、今でも決して楽ではない。それでも、少しずつ工夫を重ね、自分のペースを見つけることで、以前よりも穏やかな気持ちで毎日を過ごせるようになった。デイサービスやショートステイを活用し、アロマやヨガといったストレスケアを取り入れることで、「自分を犠牲にしない介護」という形が少しずつ見えてきた気がする。


介護の中で得たもの

介護を始めた当初は、「なぜ自分がこんなに苦しまなければならないのか」と思うこともあった。母の状態が少しずつ変わっていくたびに、かつての母を思い出し、胸が締めつけられるような気持ちになる日も少なくなかった。でも、こうして毎日母と向き合う中で気づいたのは、介護はただ負担ばかりではないということだ。

母が笑顔で「今日もありがとうね」と言ってくれる瞬間、母が過去の思い出を語り始めて、私が知らなかった一面を垣間見る瞬間。その一つ一つが、私にとって新たな「家族の形」を感じさせてくれる。母との時間は、私自身がこれまでの人生で見落としてきた「大切なこと」を教えてくれる貴重な時間でもあった。


未来に向けて

介護には終わりがある。これまで何度もそのことを考えたが、今はその終わりを悲観的に捉えなくなった。「母と一緒に過ごすこの時間をどう大切にできるか」、それが私にとってのテーマになっている。

もちろん、すべてが順調にいくわけではない。疲れ果てる日もあれば、感情的になってしまう日もある。それでも、自分なりの方法でストレスをケアし、周囲の助けを借りながら進んでいくことで、「完璧でなくてもいい」と思えるようになった。

母が一日でも多く安心して過ごせるように。そして、私自身も健康でいることを大切にしながら、これからもこの生活を続けていきたいと思う。介護は終わりが見えにくいトンネルのようなものだと言われることが多い。でも私は、そのトンネルの中にも小さな光があることを知った。その光を見つけながら、これからも歩んでいきたい。


介護と仕事を両立するすべての人へ

この物語は、私自身の体験から得たものを綴ったものだ。同じように介護と仕事を両立する方々が、少しでも心を軽くし、明日への力を得られるヒントになれば嬉しい。介護の日々は決して簡単ではないけれど、小さな工夫や周囲の助けによって、必ず乗り越えられる瞬間がやってくる。

「一人で抱え込まないでいいんだよ」
そう言える今の自分を、少しだけ誇らしく思う。そして、これからも母と自分の人生を丁寧に紡いでいくつもりだ。


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